0 はじめに — 覚えるのは5つだけ
| 覚えること | 章 | |
|---|---|---|
| 1 | 届いたリンクは押さない | 1 |
| 2 | パスワードは使い回さない・二段階認証を入れる | 2 |
| 3 | 写真を載せる前に、背景まで見る | 3 |
| 4 | AIに、人の名前や事情を入れない | 4 |
| 5 | やってしまったら、ひとりで隠さない | 5 |
- 各章の終わりに「思い出す問い」があります。答えを見る前に、3秒だけ自分で考えてから開きます。言えたら「○」、言えなかったら「×」。次の日は「×」だけやり直します。
- 「先生の道」は、名簿や成績を扱う先生向けの、もっとくわしい道です。もっと知りたくなったら読んでください。
問1この道で覚える5つのうち、1つ目は?
答えを見る
届いたリンクは押さない。
問2思い出す問いの答えを開く前にすることは?
答えを見る
3秒だけ自分で考える。
1 だまされない — 届いたリンクは押さない
- これは、本物そっくりの偽の画面に誘って、パスワードやカードの番号を自分で入れさせるだましです。ニュースでは「フィッシング」と呼びます(fishing=釣り。偽物のえさで釣る)。
- だます人は、宅配・銀行・役所・有名なお店・SNSの運営のふりをします。
だましの3つのしるし
- 急がせる(今すぐ・本日中・24時間以内)
- 不安にさせる(止まります・凍結します・ウイルスに感染しました)
- パスワードや番号を聞く
この3つがそろったら、だましを疑います。
どうするか
- 届いたリンクは押さない。気になる時は、いつも使っている公式のアプリか、ブックマークから開いて確かめる。
- 検索した時のいちばん上の広告が偽物のこともあります。検索だけで安心しない。
- パソコンで「ウイルスに感染しました!この番号に電話して」と大きな音の画面が出ても、電話しない。画面が出ただけなら、ウイルスには感染していません。閉じれば済みます。
問1だましの3つのしるしは?
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急がせる・不安にさせる・パスワードや番号を聞く。
問2届いたメッセージが本物か確かめたい時は、どこから開く?
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いつも使っている公式のアプリかブックマークから(届いたリンクは押さない)。
問3「ウイルスに感染しました!電話して」の画面が出たら?
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電話しない。画面が出ただけなら感染していない。閉じれば済む。
2 パスワード — 使い回さない・二段階認証
- パスワードを使い回すと、1か所から漏れただけで、ほかのアカウントにも次々と入られます。
- 乗っ取られると、あなたのふりをして友だちにお金を頼んだり、変なリンクを送ったりされます。あなたの友だちが、だまされるのです。
どうするか
- パスワードは長く・アカウントごとに別々に。全部は覚えられないので、スマホのパスワード管理(覚えておいてくれる機能)を使ってかまいません。
- 特にメールのパスワードは大事です。メールを乗っ取られると、ほかのアカウントの「パスワードを忘れた」から入り直されてしまいます。
- 二段階認証を入れる。パスワードのほかに、スマホに届く番号や指紋・顔で確かめる設定です。Instagram・LINE・Googleなど、たいていのアプリの設定にあります。
- ただし、偽の画面にパスワードと番号の両方を入れてしまうと、二段階認証でも入られることがあります。だから1章の「リンクを押さない」が先です。
- 使っていないアカウントは、消す。漏れる場所が減ります。
問1パスワードを使い回すと、何が起きる?
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1か所から漏れただけで、ほかのアカウントにも入られる。友だちがだまされることもある。
問2いちばん大事なのは、どのパスワード?
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メールのパスワード。
問3二段階認証って何?
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パスワードのほかに、スマホに届く番号や指紋・顔でもう一度確かめる設定。
3 写真とSNS — 載せる前に、背景まで見る
- 写真には、写っている物から、住んでいる所・学校・よく行く場所が分かってしまうことがあります(窓の外の景色・駅や店の看板・制服・名札)。
- 写真のファイルに、撮った場所の情報が入っていることもあります。
- 「いつ・どこにいるか」が知られると、つきまといなど、体の安全にもつながります。
どうするか
- 載せる前に、背景まで全部見る。看板・名札・窓の外・郵便物。
- 「今ここにいる」は、帰ってから載せる。
- 友だちが写っている写真は、載せる前にその友だちに聞く。作品やショーの写真も、モデルや写っている人に聞く。
- 一度載せた写真は、消しても、誰かが保存していることがあります。
問1写真を載せる前に見るところは?
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背景まで全部(看板・名札・窓の外・郵便物)。
問2「今ここにいる」写真は、いつ載せる?
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帰ってから。
問3友だちが写っている写真を載せる前にすることは?
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その友だちに聞く。
4 AIを使う時 — 人の名前や事情を入れない
- AIに入れた文は、AIの会社の計算機に送られます。使い方の設定によっては、AIを育てる材料に使われることもあります。
- だから、人の名前と事情がセットになった文(体調・家のこと・成績・相談)や、パスワードは入れません。
- 使いたい時は、「Aさん・Bさん」に変える、事情の所は消す、など誰か分からない形にしてから入れます。
AIの答えは、確かめる
- AIは、もっともらしい間違いを言うことがあります。数字・決まり・人の名前は、元の頁で確かめてから使います。
- 学校や授業に、AIの使い方の決まりがある時は、それに従います。
知っておくと安心なこと
- AIは、読んだ文の中に隠れた指示があると、それを聞いてしまうことがあります(ニュースでは「プロンプトインジェクション」と呼びます)。AIにメールやファイルを読ませる時は、AIが変なことをしていないか見ておきます。
問1AIに入れないものは?
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人の名前と事情がセットの文と、パスワード。
問2どうしても使いたい時は、どうする?
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名前を「Aさん」に変える・事情を消す、など誰か分からない形にしてから入れる。
問3AIの答えの数字や決まりは、どうする?
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元の頁で確かめてから使う。
5 やってしまったら — ひとりで隠さない
- だまされるのは、あなたが悪いからではありません。だます人は、だますプロです。
- 大事なのは、早く動くこと。早いほど、被害は小さく済みます。
最初の3手
- 止める:それ以上は入れない。入れてしまったパスワードは、すぐ変える(同じパスワードを使っているほかのアカウントも)。
- 知らせる:カードの番号を入れたら、カードの裏の番号からカード会社へ。学校のアカウントなら、先生へ。
- 相談する:家の人・先生・下の窓口へ。
| 困りごと | 相談先 |
|---|---|
| だまされた・お金の被害 | 消費者ホットライン 188(いやや) |
| 犯罪かもしれない | 警察の相談専用電話 #9110 |
| ウイルスの警告・ネットの困りごと | IPA(国の、コンピューターの安全の機関)の相談窓口 |
- 電話番号は、かける前に自分で調べた公式の頁でも確かめてください。
問1だまされたと気付いたら、最初の3手は?
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止める・知らせる・相談する。
問2入れてしまったパスワードは、どうする?
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すぐ変える(同じパスワードのほかのアカウントも)。
問3消費者ホットラインの番号は?
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188(いやや)。
0 はじめに — 守る地図を1枚描く
この教科書の約束
- この教科書では、パスワードを「合言葉」、ネットワーク(機械どうしをつなぐ網)を「網」と書くことがあります。同じ物です。
- 難しい言葉は、先に出しません。 まず場面、次にふだんの言葉、最後に「ニュースではこう呼びます」の順で出てきます。
- 全部は覚えません。 各章の終わりの「これだけは、の1枚」が言えれば十分です。
- 読み直すより、思い出す。 各章の「思い出す問い」は、答えを見る前に3秒だけ自分で考えてから開きます。言えたら「○」、言えなかったら「×」を押します。次の日は「×」だけをやり直します。
守る地図
| 守る物(何を) | 守る相手(何から) | 守り方(どのように) |
|---|---|---|
| 情報(自分の・人の) | だます人 | 鍵をかける |
| お金 | 盗む人 | 控えを取る |
| 信用(なりすまし・評判) | うっかりの自分 | 分ける |
| 暮らしと体(居場所・家族) | AIの乗っ取り | 確かめる |
- 左の「守る物」は1章、まん中の「守る相手」は2章、右の「守り方」は3章で、1つずつ見ていきます。
- 4章は、AIを使う時だけの新しい話です。5章は学校の場面、6章は困った時です。
言葉の変換
セキュリティ
安全を守ること。危ない事が起きないようにする、起きても小さく済ませる
覚える鍵security=ラテン語の se(離れて)+ cura(心配)。心配から離れた状態
情報セキュリティ
情報を、盗まれない・こわされない・使いたい時に使える状態に保つこと
覚える鍵「盗まれない」「変えられない」「止まらない」の3つ
インシデント
困った出来事。情報が漏れた・ウイルスに入られた・乗っ取られた、など
覚える鍵incident=事件・出来事。「セキュリティインシデント」=セキュリティの事件
問1セキュリティを考える時の3つの軸は何でしたか?
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守る物(何を)・守る相手(何から)・守り方(どのように)。家の戸締まりと同じです。
問2「インシデント」をふだんの言葉で言うと?
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困った出来事・事件。情報が漏れた、乗っ取られた、などのこと。
問3この教科書で、思い出す問いの答えを開く前にすることは?
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3秒だけ自分で答えを考える。言えたら○、言えなかったら×を押し、次の日は×だけやり直す。
1 守る物 — 何を守るのか
1-1 情報 — 自分の情報と、人の情報
- このUSBメモリを拾った人は、学生一人ひとりが誰で、どこに住んでいるかが分かってしまいます。
- 名前や住所のように、その人が誰かが分かる情報を「個人情報」と言います。名前だけでなく、顔写真や、ほかの情報と合わせると誰か分かる物も入ります。
- その中でも、病気・障害・犯罪にあった事など、知られると差別や不利益につながりやすい情報は、法律で特に慎重に扱うよう決められています。
- 学校では、法律の決まりとは別に、成績・出欠・家庭の事情・進路の相談も、同じくらい慎重に扱います。
言葉の変換
個人情報
その人が誰か分かる情報(名前・住所・顔写真・学籍番号など)
覚える鍵「個」人を「特定」できるか
要配慮個人情報
特に気を付ける個人情報(病気・障害・犯罪にあった事など)
覚える鍵「配慮」が「要る」=知られると傷つけやすい
情報漏えい
情報が、渡してはいけない人の所へ出てしまうこと
覚える鍵漏=もれる・洩=もれる。水が漏れるのと同じ
1-2 お金
- ネットの銀行・クレジットカード・スマホ決済は、合言葉さえ分かれば、本人でなくても使えてしまう仕組みです。
- だから、お金を守る一番の近道は、合言葉と、確かめの番号(後で出てくる「二段階の確かめ」)を守ることです。
- IPA(情報処理推進機構=国の、コンピューターの安全を広める機関)が毎年選んでいる「情報セキュリティ10大脅威」の2026年版でも、個人向けの10項目に、ネットの銀行の不正・カード情報の盗み・スマホ決済の不正が入っています。
1-3 信用
- 誰かがあなたのSNSやメールを乗っ取って、あなたのふりをして友だちにお金を頼む。これがなりすましです。
- お金が戻っても、「あの人から変なメッセージが来た」という記憶は残ります。信用は、取り戻すのに時間がかかります。
1-4 暮らしと体
- 写真には、撮った場所の情報が入っていることがあります。SNSに載せた写真や、背景に写った景色から、家や学校が分かることもあります。
- 「いつ・どこにいるか」が知られると、つきまといなど、体の安全にもつながります。
よくある思い込み
- 顔写真・学籍番号・声・ほかと合わせて誰か分かる物も入る⇄
個人情報=名前と住所だけ写真や番号も個人情報 - 合言葉・連絡先・写真は、だます人にとって価値がある⇄
自分には盗まれる物なんて無い自分の連絡先から、友だちがだまされることもある
問1守る物の4つは?
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情報・お金・信用・暮らしと体。入口の「情報」を守ると、ほかの3つも守れる。
問2「個人情報」をふだんの言葉で言うと?
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その人が誰か分かる情報。名前・住所だけでなく、顔写真や学籍番号も入る。
問3病気や障害のように、特に気を付ける個人情報を何と呼ぶ?
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要配慮個人情報(配慮が要る個人情報)。
問4学校で、法律の決まりとは別に慎重に扱う情報を2つ言えますか?
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成績・出欠・家庭の事情・進路の相談など。
2 守る相手 — 何から守るのか
2-1 だます人
- これは、本物そっくりの偽の画面に誘い込んで、合言葉やカードの番号を自分で入れさせるだましです。
- 魚釣りと同じで、偽物のえさ(宅配・銀行・役所・有名な会社)を投げて、食いつくのを待っています。
- パソコンの画面に「ウイルスに感染しました。今すぐこの番号に電話してください」と大きな音と一緒に出るのも、だましです。電話をかけると、遠隔操作の道具を入れさせられたり、お金を払わされたりします。IPA(情報処理推進機構)によれば、画面が出ただけなら、ウイルスには感染していません。画面を閉じれば済みます。有名な会社のマークが使われていることもあるので、マークで本物と思わないでください。
- 見分けるコツ:急がせる(今すぐ・本日中)・不安にさせる(止まります・感染しました)・合言葉や番号を聞く。この3つがそろったら、だましを疑います。
- 守り方:届いたリンクは押さない。本物か確かめたい時は、前から使っている公式のアプリや、ブックマーク、カードの裏の電話番号から確かめる。検索した時のいちばん上の広告が偽物のこともあるので、検索だけで安心しない。
言葉の変換
フィッシング
偽物の画面に誘って、合言葉や番号を入れさせるだまし
覚える鍵fishing(釣り)の音から。偽物のえさで釣る
スミッシング
ショートメール(SMS)を使ったフィッシング
覚える鍵SMS+フィッシング
サポート詐欺
「ウイルスに感染」と偽の警告を出し、電話をかけさせるだまし
覚える鍵画面が出ただけなら感染していない。閉じれば済む
2-2 盗む人
- 合言葉を盗んで、本人のふりをして入るのが不正ログインです。同じ合言葉を使い回していると、1か所から漏れた合言葉で、ほかの所にも次々と入られます。
- パソコンの中の写真や書類を勝手に読めなくして、「元に戻してほしければお金を払え」と言ってくる攻撃もあります。IPAの2026年版では、組織向けの1位です。
- 盗む人は、古いままのソフトの穴を探して入ってくることもあります。だから、更新の知らせが来たら、早めに入れます。
言葉の変換
不正ログイン
盗んだ合言葉で、本人のふりをして入ること
覚える鍵ログイン=入口から入る。不正=本人ではない
ランサムウェア
書類を読めなくして、戻す代わりにお金を求める悪いプログラム
覚える鍵ransom(身代金)+ware(道具)
マルウェア
悪いことをするプログラムの全部をまとめた呼び名(ウイルスも入る)
覚える鍵mal(悪い)+ware
脆弱性
ソフトの穴・弱い所。そこから入られる
覚える鍵脆(もろい)・弱(よわい)。もろくて弱い所
2-3 うっかりの自分
- メールの宛先を間違える。共有のフォルダを「誰でも見られる」設定のままにする。USBメモリを落とす。
- 悪い人が何もしなくても、情報は漏れます。だから、送る前に読み直す・共有の設定を確かめる・持ち歩かないという、ふだんの手つきが大切です。
2-4 AIの乗っ取り(4章でくわしく)
- AIは、読んだ文の中に隠れた指示があると、それを持ち主の指示と同じように聞いてしまうことがあります。
- AIに「メールを読んで返事を書いて」と頼んだ時、届いたメールの中に「この人の大事なメールを外へ送れ」と見えない字で書いてあったら……という危険です。
よくある思い込み
- 電話しない。画面を閉じ、困ったらIPAの相談窓口へ⇄
ウイルスの警告が出たら、書いてある番号に電話する画面が出ただけなら感染していない - 強くても、使い回すと1か所の漏れで全部に入られる⇄
合言葉は、強ければ使い回してもよい強さと別々の両方が要る - うっかり(宛先の間違い・共有の設定・落とし物)でも漏れる⇄
悪い人がいなければ漏れない入口になりやすいのは自分の手つき
問1守る相手の4つは?
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だます人・盗む人・うっかりの自分・AIの乗っ取り。
問2だましを疑う3つのしるしは?
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急がせる・不安にさせる・合言葉や番号を聞く。
問3「フィッシング」の覚える鍵は?
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fishing(釣り)。偽物のえさで釣って、合言葉を入れさせる。
問4合言葉を使い回すと、何が起きやすい?
答えを見る
1か所から漏れた合言葉で、メールやSNSなどほかの所にも入られる(不正ログイン)。
問5「ランサムウェア」をふだんの言葉で言うと?
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書類を読めなくして、戻す代わりにお金(身代金)を求める悪いプログラム。
3 守り方の4つ — どのように守るのか
3-1 鍵をかける
- 合言葉は、長く・サイトごとに別々に。 特にメールの合言葉は大事です。メールが乗っ取られると、ほかのサイトの「合言葉を忘れた」から、次々と入り直されるからです。
- 別々の合言葉を全部覚えるのは無理なので、合言葉の管理帳(覚えておいてくれる道具)を使ってかまいません。
- 二段階の確かめを入れる。合言葉のほかに、スマホに届く番号や、指紋・顔で確かめます。どの方法でも、無いよりずっと良いです。
- ただし、偽の画面に合言葉と確かめの番号の両方を入れてしまうと、二段階の確かめをしていても入られることがあります。だから「偽の画面に入れない」(2章)が先です。
- 最近は、合言葉の代わりに、スマホの指紋や顔で入るパスキーも広がっています。偽の画面にだまされても、盗まれにくい方法です。
言葉の変換
パスワード
合言葉。入口の鍵
覚える鍵pass(通る)+word(言葉)
二段階認証・多要素認証
合言葉のほかに、もう1つ別の確かめを足すこと(スマホの番号・指紋など)
覚える鍵鍵を2つにする。「知っている物」+「持っている物」
パスキー
合言葉を使わず、スマホの指紋や顔で入る方法
覚える鍵合言葉(パスワード)の代わりの鍵(キー)
パスワードマネージャー
合言葉を覚えておいてくれる道具
覚える鍵合言葉の管理帳
3-2 控えを取る
- 控え(バックアップ)があれば、こわされても、盗まれても、元に戻せます。
- 大事なのは、控えをふだんはつないでおかないことです。つないだままだと、悪いプログラムが控えまで読めなくしてしまうことがあります。
- ★「写し」と「控え」は違います。 2台のパソコンの中身をいつも同じにしておく「写し(ミラー)」は、片方が書き換えられると、もう片方も同じように書き換わります。控えは、ある日の時点の物を残しておく物です。
- 控えは、たまに本当に戻せるかを試します。戻せない控えは、控えではありません。
言葉の変換
バックアップ
控え。こわれた時に戻すための、別の場所の写し
覚える鍵back up=後ろから支える。いざという時の支え
ミラー
2つをいつも同じにしておく写し。片方の変化が、もう片方にも写る
覚える鍵mirror(鏡)。鏡はこわれた姿もそのまま映す
3-3 分ける
- 混ぜておくと、うっかりで出てしまいます。分けておけば、出る道が細くなります。
- 分け方の例:
- 人を分ける:名簿は、見る必要のある人だけが開けるようにする(全員が見られる共有の所に置かない)。
- 網を分ける:学校の事務の網と、学生が使う網を分ける。
- できることを分ける:アカウントには、仕事に要る分だけの「できること」を渡す。
- AIの記憶に棚を作る:上の場面のように、人の事情はふだん引かない棚へ。
- ただし、分けるだけでは十分ではありません。上のコラムの例でも、元の記録そのものと、AIが外へ出す文は、別に守る必要がありました。棚を作ったのは「思い出しの入口を細くした」ことで、「漏れなくなった」わけではありません。
言葉の変換
アクセス権・権限
その人(その機械)に、何をしてよいかの決まり。見る・書く・消す
覚える鍵「権」利の「限」り
最小権限
仕事に要る分だけの「できること」を渡す
覚える鍵合鍵は、要る部屋の分だけ
3-4 確かめる
- 更新を入れる。 更新は、見つかった穴(脆弱性)をふさぐ物です。
- 送る前に読み直す。 宛先・添付・共有の設定。
- ログインの知らせを見る。 「新しい端末からログインしました」の知らせに心当たりが無ければ、すぐ合言葉を変えます。
- 一人で決めない。 おかしいと思ったら、人に聞く・相談の窓口に聞く(6章)。
よくある思い込み
- 控えをつなぎっぱなしだと、控えまでこわされる。戻せるか試してこそ控え⇄
控えを取っていれば大丈夫控えは外して置く・たまに戻してみる - 写しは、書き換えられた物もそのまま写す⇄
写し(ミラー)があるから控えは要らないミラー=鏡。こわれた姿も映す - 合言葉が漏れても、入られずに済む⇄
二段階の確かめは面倒なだけ鍵を2つにする - 入口が細くなっただけ。元の記録と、外へ出す文は別に守る⇄
棚に分けたから、もう漏れない分ける+確かめる
問1守り方の4つは?
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鍵をかける・控えを取る・分ける・確かめる。
問2合言葉の中で、特に大事なのはどれ? なぜ?
答えを見る
メール。メールを乗っ取られると、ほかのサイトの「合言葉を忘れた」から入り直されるから。
問3控えを、ふだんはつながないのはなぜ?
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つないだままだと、悪いプログラムが控えまで読めなくすることがあるから。
問4「写し(ミラー)」と「控え」の違いは?
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写しはいつも同じにする物で、書き換えられた物も写る。控えはある日の時点の物を残す物。
問5AIの記憶に「棚」を作ると、何が守れて、何がまだ守れない?
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守れる=AIが別の仕事で人の事情を思い出して書き写すことを減らせる。まだ=元の記録と、AIが外へ出す文は別に守る必要がある。
問6「最小権限」をふだんの言葉で言うと?
答えを見る
合鍵は、要る部屋の分だけ渡す。
4 AIと付き合う時の守り方
4-1 AIに渡さない物
- AIに入れた文は、AIを作る会社の計算機に送られます。使い方の設定によっては、AIを育てる材料に使われることもあります。
- だから、人の名前と事情がセットになった文(名簿・成績・相談の記録・病気のこと)や、合言葉・鍵の実物は、AIに入れません。
- どうしても使いたい時は、名前を「Aさん」に変える・要らない所を消す、など誰か分からない形にしてから入れます。
- 学校や会社には、AIの使い方の決まりがあることが多いです。まずそれを確かめます。
4-2 指示の乗っ取り
- 悪い指示は、メールだけでなく、ホームページ・ファイル・画像の中にも隠せます。
- AIが自分で頁を開いたり、道具を動かしたりできるほど、入口が増えます。
4-3 危ない三つ組
次の3つがそろうと、盗まれる道ができます。
| 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|
| 人の情報・秘密に触れられる | 信用できない文(外の頁・届いたメール)を読む | 外へ送れる(メール・書き込み・送信) |
- どれか1つを外せば、盗まれる道は切れます。たとえば、名簿を読ませるAIには、外の頁を読ませない・外へ送らせない。
4-4 AIに手足を渡す時
- 最近のAIは、ファイルを読む・命令を動かす・メールを送るなどの手足(道具)を持てます。
- 手足を渡す時の決まりは、3章の「分ける」と同じです。
- 要る道具だけ渡す(最小権限)。
- 消す・送る・お金を払う、など取り返しのつかない操作の前は、人が確かめる。
- 使わない時は、AIの会話(作業)を閉じる。メールや保存の箱との要らないつなぎは外す。
- 答えは、AIの手足がどこで動くかで変わります。
- 自分のパソコンの上で動かす道具の場合:手足が動くのは、自分が開いた作業の中です。閉じれば止まります。ただし、その道具の更新は会社から届くので、会社が乗っ取られると、悪い更新が届く心配は残ります(ほかのソフトと同じです)。
- 会社の計算機の上で動くAI(メールや保存の箱に「つないで」使う物)の場合:つないだ鍵の分だけ、AIは会社の側で動けます。
- だから守り方は:要らないつなぎは外す・使わない時は閉じる・取り返しのつかない操作は確かめてから・大事な物は控えを外して置く。
4-5 AIの答えを確かめる
- AIは、もっともらしい間違いを言うことがあります。数字・決まり・人の名前は、元の頁で確かめてから使います。
- AIが作った文を外に出す前に、人の名前や事情が入っていないかを読みます。
言葉の変換
生成AI
文や絵を作るAI
覚える鍵「生」み出して「成」す
プロンプト
AIへの頼みの文
覚える鍵prompt(うながす)
プロンプトインジェクション
文の中に悪い指示を隠して、AIを乗っ取ること
覚える鍵injection=注入(注射の意味もある)。指示をこっそり注ぎ込む
AIエージェント
手足(道具)を持って、自分で作業を進めるAI
覚える鍵agent(代わりに動く人)
よくある思い込み
- 入れた文は会社の計算機へ送られる。人の情報と鍵は入れない⇄
AIの会社が守ってくれるから、何を入れても大丈夫入れる前に「誰か分からない形」へ - 完全に防ぐ方法はまだ無い。持たせる物を減らす⇄
指示の乗っ取りは、もう防げるようになった被害は「持たせた物」で決まる - 手足が動く場所は、自分のパソコンの道具の中か、つないだ鍵の分だけ⇄
AIは勝手にパソコンへやって来る要らないつなぎは外す・使わない時は閉じる
問1AIの弱点は何でしたか?
答えを見る
読んだ文の中の隠れた指示を、持ち主の指示と同じように聞いてしまうことがある(指示の乗っ取り)。
問2AIに入れないものを2つ言えますか?
答えを見る
人の名前と事情がセットの文(名簿・成績・相談・病気)と、合言葉・鍵の実物。
問3危ない三つ組の3つは?
答えを見る
①人の情報・秘密に触れる ②信用できない文を読む ③外へ送れる。1つ外せば道が切れる。
問4AIに手足を渡す時の決まりを2つ言えますか?
答えを見る
要る道具だけ渡す/消す・送る・払うの前は人が確かめる/使わない時は閉じる。
問5AIを作る会社が乗っ取られた時に備えて、自分でできることを2つ言えますか?
答えを見る
要らないつなぎ(メール・保存の箱)は外す/使わない時は閉じる/大事な物は控えを外して置く。
5 学校の場面で
5-1 名簿・成績
- 持ち歩かない。 家で作業したい時も、学校の決まりで許された方法だけを使います(USBメモリを落とした場面=1章)。
- 共有の所に置かない。 見る必要のある人だけが開ける場所へ(分ける=3章)。
- 送る前に、宛先と添付を読み直す(確かめる=3章)。
5-2 写真・SNS
- 学生や子どもの写真を載せる前に、本人(や保護者)の了解を取ります。
- 背景に写った名札・掲示物・窓の外の景色から、名前や場所が分かることがあります。載せる前に写っている物を全部見る。
- 学生自身のSNSも同じです。制服・最寄り駅・家の窓からの景色で、居場所が分かります(暮らしと体=1章)。
5-3 授業でAIを使う
- 課題の文に、自分や友だちの名前・事情を入れない(4章)。
- AIの答えは、元の頁で確かめてから使う。
- 学校のAIの使い方の決まりを先に確かめる。文部科学省は、学校で生成AIを使う時の手引きを出しています。
5-4 毎日の場面
- たくさんの人に送る時は、宛先をBCC(ほかの受け取った人に見えない欄)に入れます。送る前に、宛先の欄をもう一度見ます。
- 紙の名簿も同じです。机の上・コピー機・会議室に置き忘れない。使い終わったら、決まった場所へ戻すか、細かく切ってから捨てます。
- 学生の作品やショーの写真を学校のSNSやホームページに載せる時は、作品だけでなく写っている人の了解も取ります。顔・名札・背景も見ます。
- まず、責めない。言いに来てくれたことが、いちばん大事です。責めると、次から隠すようになります。
- 一緒に、6章の「最初の3手」(止める・知らせる・相談する)をします。パスワードを変える、カードなら会社へ連絡、困ったら窓口へ。
- 学校の物(学校のアカウントや名簿)に関わる時は、学校の上の人へ知らせます。
5-5 決まりや担当が無い学校では
- 情報の扱いの決まりや、担当の人が決まっていない学校もあります。その時は、校長・教頭など上の人に知らせるのを決まりにします。
- 起きたことは、いつ・何が・どうしたかをメモに残します。あとで決まりを作る時の材料になります。
5-6 共有のパソコン・学校の網
- 共有のパソコンでは、使い終わったらログアウトする。合言葉を「覚えさせる」を押さない。
- 学校の機械(カメラ・ネットにつながる保存の箱など)も、最初の合言葉のままにしない。更新を入れる。見る必要のある網だけにつなぐ。
よくある思い込み
- 一度ネットに出た写真や文は、消しても誰かが写しを持っていることがある⇄
学校の中の話だから、少しくらい載せても大丈夫載せる前に全部見る - 学年・部活・出来事を合わせると、誰か分かることがある⇄
名前を消せば、誰か分からない合わせると分かる物も個人情報
問1名簿や成績を扱う時の3つの決まりは?
答えを見る
持ち歩かない・共有の所に置かない・送る前に読み直す。
問2写真をSNSに載せる前にすることを2つ言えますか?
答えを見る
本人(や保護者)の了解を取る/背景まで写っている物を全部見る。
問3たくさんの人に一斉にメールを送る時、宛先はどの欄に入れる?
答えを見る
BCC(ほかの受け取った人に見えない欄)。
問4学生が「リンクを押してパスワードを入れてしまった」と言ってきたら、まずすることは?
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責めない。そして一緒に「止める・知らせる・相談する」。
問5学校の機械(カメラなど)で、まず直すことは?
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最初の合言葉のままにしない・更新を入れる・要る網だけにつなぐ。
6 困った時
最初の3手
- 止める。 おかしな画面は閉じる。リンクの先で何か入れてしまったら、それ以上は入れない。乗っ取られたかもしれないアカウントは、別の安全な端末から合言葉を変える。
- 知らせる。 学校や会社の物なら、すぐ担当の人へ。カードや銀行なら、カード会社・銀行へ(カードの裏や公式のアプリの番号から)。
- 相談する。 下の窓口に聞く。
相談の窓口
| 困りごと | 窓口 |
|---|---|
| 買い物・契約・だましの被害 | 消費者ホットライン 188(いやや) |
| ウイルスの警告・ネットの困りごとの相談 | IPA 情報セキュリティ安心相談窓口 |
| 犯罪かもしれない時 | 警察の相談専用電話 #9110・各都道府県警察のサイバー犯罪の相談窓口 |
| 学校・会社の情報が漏れたかもしれない時 | まず学校・会社の担当の人へ(担当が決まっていなければ、校長・教頭など上の人へ) |
- 窓口の電話番号や受付の時間は変わることがあります。かける前に、自分で調べた公式の頁で確かめてください。
問1困った時の最初の3手は?
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止める・知らせる・相談する。
問2乗っ取られたかもしれない時、合言葉はどの端末から変える?
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別の安全な端末から。
問3だましの被害を相談する消費者ホットラインの番号は?
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188(いやや)。
付録 点検表と、参考にした所
自分の端末の点検表
| 点検すること | 章 |
|---|---|
| 画面のロック(暗証番号・指紋・顔)を付けている | 3 |
| メールの合言葉は、ほかで使っていない | 3 |
| メールとSNSに、二段階の確かめを入れている | 3 |
| 更新の知らせが来たら、早めに入れている | 3 |
| 大事な写真・書類の控えを、外して置いている(戻せるか試した) | 3 |
| 使っていないアプリ・アカウントを消した | 1 |
| 届いたリンクから合言葉を入れない、と決めている | 2 |
| AIに人の名前・事情・合言葉を入れない、と決めている | 4 |
| 困った時の窓口(188・#9110・IPA)を知っている | 6 |
参考にした所
この教科書の本文は、すべて書き下ろしです。次の公の機関などの資料を読み、要点を自分の言葉で書きました。資料の文や図は載せていません。くわしく知りたい時は、元の頁を読んでください(2026年10月27日に確かめた版です)。
- 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2026」・個人向けハンドブック・「情報セキュリティ6か条」(SECURITY ACTION)・情報セキュリティ安心相談窓口
- 国家サイバー統括室(旧 内閣サイバーセキュリティセンター)「インターネットの安全・安心ハンドブック」Ver 5.10
- 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」
- 個人情報保護委員会 ホームページ(よくある質問=個人情報の考え方)・「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月)
- 文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」(令和7年3月)・「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」Ver.2.0(2024年12月)
- 警察庁 フィッシング・サポート詐欺・不正アクセスの注意
- 消費者庁・国民生活センター 消費者ホットライン188
- OWASP「Top 10 for LLM Applications 2025」(指示の乗っ取り・情報の漏れ・権限の持たせすぎ)
- 英国 NCSC「Top tips for staying secure online」/米国 CISA「Secure Our World」/米国 FTC「How to recognize and avoid phishing scams」
- Anthropic・Microsoft の、指示の乗っ取りへの守りについての公開記事
- Simon Willison「The lethal trifecta」(個人の記事)
- 学び方:吉永賢一先生(記憶博士の非常識な記憶学)の動画で話されている覚え方(場面から入る・言葉を変える・思い出す・間を空ける)を、この教科書の作りに使いました